メールもLINEも信用しすぎない —— 巧妙化する詐欺の最新手口


「メールからLINEへ」巧妙化する詐欺の手口 —— 企業も個人も狙われる情報窃取と送金被害

詐欺の手口は、メールやSMSだけで完結するものではなくなっています。実在する企業や取引先、社長、セキュリティー担当者、行政機関などを装い、メールからLINEなどの別の連絡手段へ誘導したうえで、個人情報や認証情報を盗み取ったり、送金や不正な操作をさせたりする手口が見られます。

相手の名前や会社名、実際に利用しているサービスなどを把握したうえで連絡してくることもあり、文面だけで本物かどうかを判断するのは簡単ではありません。こうした手口は、個人だけでなく企業や組織も標的にしています。

1. 社長や役員を装った「LINEグループ作成・QRコード誘導」型

社長や役員、取引先の責任者などを装い、業務連絡や緊急の案件を理由にLINEグループの作成を求める手口です。メールで連絡した後、個人のLINEアカウントへの追加やQRコードの送付を指示し、別の連絡手段へ誘導します。その後、他の社員には知らせないよう口止めしたり、会社の口座残高や取引情報のスクリーンショットを送らせたり、指定口座への送金を要求したりします。

2. サービス会員情報の漏えいに便乗した「アカウント停止・本人確認」型

実在するサービスの会員情報漏えいやシステム障害などに便乗し、「アカウントが停止される」「本人確認が必要」などと不安をあおる手口です。氏名や利用サービスなど、実際の情報を文面に含めることで信用させ、偽サイトへのアクセスやLINEへの登録を促します。そこでログイン情報や個人情報、認証コードなどを入力させ、不正利用につなげます。

3. キャッシュレス決済や金銭トラブルを装った「少額送金・QR決済」型

返金や支払いの確認、決済トラブルの解決などを装い、QRコードの読み取りや少額送金を求める手口です。「返金手続き」「本人確認」「決済の修正」などと説明し、実際には相手に送金させたり、決済アカウントを不正利用したりします。返金を受けるはずが、逆にお金を支払ってしまうケースもあります。

4. 取引先や経理担当者を装った「請求書・振込先変更」型

取引先や社内の経理担当者、役員などを装い、請求書の送付や振込先の変更を指示する手口です。実際の取引内容や担当者名を把握している場合もあり、通常の業務連絡と見分けにくいことがあります。メールアドレスを偽装したり、取引先のメールアカウントを乗っ取ったりして、偽の請求書や口座情報を送付します。指示どおりに振り込むと、攻撃者の口座に送金されてしまいます。

5. 商品購入や返金を装った「画面共有・遠隔操作」型

ネット通販やフリマサイトなどでの購入・返金トラブルを装い、サポート担当者を名乗る人物が画面共有や遠隔操作を求める手口です。返金手続きや決済の確認を理由にアプリをインストールさせ、スマートフォンやパソコンの操作を誘導します。その結果、ネットバンキングや決済サービスを不正に操作され、金銭をだまし取られるおそれがあります。

6. 宅配業者や通信事業者を装った「SMS・偽サイト誘導」型

宅配便の不在通知や荷物の再配達、通信料金の未払い、アカウントの利用停止などを装い、SMSやメールで偽サイトへ誘導する手口です。メッセージに記載されたURLを開かせ、偽のログイン画面などでIDやパスワード、クレジットカード情報を入力させます。入力した情報は盗み取られ、不正ログインや金銭被害に利用されます。

7. 著名人や投資家を装った「SNS・LINE投資グループ」型

著名人や投資家、金融関係者などを装い、SNS広告やメッセージから投資グループへ誘導する手口です。LINEグループなどで投資情報や成功事例を紹介し、利益が出ているように見せかけて信用させます。その後、偽の投資アプリやサイトに登録させ、入金を繰り返し要求します。画面上では利益が増えているように見えても、実際には出金できないケースがあります。

8. 知人や友人を装った「投票・認証コード要求」型

知人や友人のアカウントを装い、「投票に協力してほしい」「認証コードを送ってほしい」などと連絡する手口です。指定されたURLへのアクセスや電話番号の入力を求め、その後に届いた認証コードを送るよう指示します。認証コードを渡してしまうと、LINEなどのアカウントを乗っ取られるおそれがあります。

9. セキュリティー担当者やシステム管理者を装った「アカウント保護・遠隔操作」型

社内の情報システム担当者やセキュリティー管理者、外部のITサポート業者などを装い、社員に不正な操作をさせる手口です。「不正アクセスを検知した」「アカウントが危険な状態にある」「緊急のセキュリティー更新が必要」などと説明し、指定したURLへのアクセスや、パスワード・認証コードの入力、アプリのインストール、画面共有や遠隔操作を求めます。

セキュリティー対策を装いながら、実際にはアカウントの乗っ取りや社内システムへの侵入を狙っている場合があります。社員が正規の担当者からの指示だと思い込み、疑わずに操作してしまうことが危険です。

10. 国税庁や行政機関を装った「税金・給付金・公的手続き」型

国税庁や税務署、年金事務所、自治体、警察、各省庁などの公的機関を装い、税金の未納や還付金、給付金の申請、保険料の支払い、マイナンバーの確認などを口実に連絡してくる手口です。「未納の税金がある」「期限までに支払わなければ差し押さえる」「給付金の受け取り手続きが必要」などと不安や期待をあおり、メールやSMSに記載したURLから偽サイトへ誘導します。

偽サイトでは、氏名や住所、マイナンバー、口座情報、クレジットカード情報などを入力させたり、コード決済や銀行振込で金銭を支払わせたりします。電話で公的機関の職員を名乗り、個人情報や資産状況を聞き出そうとするケースもあります。公的機関の名称や実在する制度を使うことで、正規の通知だと思い込ませることが狙いです。

公的機関からの連絡であっても、メッセージに記載されたURLを安易に開かず、公式サイトに掲載されている窓口から確認することが重要です。特に、税金の納付や還付、給付金の受け取りを理由に、ATMの操作や認証コードの提供、口座の暗証番号を求められた場合は注意が必要です。

共通する危険なサイン

  • メールやSMSからLINEなど、別の連絡手段へ移動させようとする
  • 「至急」「緊急」「アカウント停止」などの言葉で判断を急がせる
  • 他の社員や家族、関係者に相談しないよう口止めする
  • QRコードの読み取りや認証コードの送信を求める
  • パスワードや口座情報、画面のスクリーンショットを要求する
  • 画面共有や遠隔操作、アプリのインストールを求める
  • 実在する人物名や会社名、個人情報を使って信用させる
  • 税金や給付金など、公的な手続きを理由に金銭や個人情報を要求する

特に注意したいのは、相手が正確な氏名や会社名、取引内容を知っている場合です。個人情報を知っていることと、本人であることは別です。また、実在する組織や公的機関の名称が表示されていても、それだけで正規の連絡とは判断できません。

被害を防ぐために

不審な連絡を受けた場合は、メッセージに記載されたURLや電話番号、QRコードをそのまま利用せず、公式サイトや社内で把握している連絡先から確認することが重要です。認証コードやパスワードを他人に伝えないこと、身に覚えのないアプリをインストールしないこと、画面共有や遠隔操作を安易に許可しないことも基本的な対策です。

企業では、社長や役員、取引先からの送金指示や振込先変更について、別の連絡経路で本人確認を行う仕組みが必要です。また、社内のセキュリティー担当者を名乗る連絡であっても、指定された方法ではなく、あらかじめ決められた正式な窓口を通じて確認するルールを設けることが大切です。重要な送金や情報提供は、複数人で確認する体制も有効です。

公的機関を名乗る連絡についても、公式サイトに掲載された情報や窓口を使って確認し、相手から指定された方法だけで手続きを進めないようにしましょう。

参考資料

不審な請求や送金、個人情報の提供をしてしまった場合は、速やかに金融機関やサービス提供事業者に連絡してください。消費者トラブルは消費者ホットライン188、警察への相談は警察相談専用電話#9110も利用できます。

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