今って、写真を撮ってから見るまで、ほとんどスマホの中で終わりますよね。撮って、選んで、Instagramに載せて、「いいね」がついたら、また次の写真を見る。昔みたいに、写真屋さんに現像を頼んで、プリントされた写真を受け取って、アルバムに入れる。そういうことは、かなり少なくなりました。
スマホやクラウドを見れば、何千枚、何万枚と写真が入っている。でも、その中で何度も見返す写真って、実際にはそんなに多くないんじゃないでしょうか。撮るのは簡単になったけど、写真を「残す」という感覚は、逆に薄くなったような気がします。
そんなことを考えていると、写真コンテストの「A4プリント必須」とか「郵送・持参のみ」という条件が、ちょっと面白く見えてきます。今なら、写真のデータを送るだけならすぐです。でもプリントとなると、まず写真を選ぶ。現像する。A4に合わせる。プリントする。そして封筒に入れて送る。正直、少し面倒です。
とはいっても、今は自宅にプリンターがなくても、それほど困りません。コンビニに行けば、スマホやUSBメモリから写真をプリントできます。最近のコンビニプリントは、思っているより仕上がりもきれいで、ちょっとしたプリントなら十分使える。A4くらいなら、わざわざプリンターを買わなくても気軽に試せます。
そう考えると、プリントすること自体は、昔ほど大げさなことではないんですよね。それでも、デジタルだけで完結している普段の写真とは、少し違う時間が生まれます。
というのも、画面の中では写真がどんどん流れていくからです。Instagramを見ていても、さっき見た写真が、もうどこにあったのか分からなくなる。どんなに気に入った写真でも、次の写真が出てくれば、そのまま流れていってしまいます。
プリントすると、そこが変わります。紙になった写真は流れていかない。机の上に置いておけば、そこにある。手に取ることもできる。大きさもあるし、余白もある。画面で見るのとは、やっぱりちょっと違います。
そして、プリントするためには、一枚を選ばなきゃいけない。これが意外と大事なのかもしれません。
デジタルなら、とりあえず全部残しておける。でも「この一枚をプリントしよう」となると、そうはいかない。その中から、自分で一枚を決める必要があります。
写真を撮ることが簡単になった今だからこそ、撮ることよりも、最後に一枚を選ぶことのほうが難しくなっているのかもしれません。
コンテストに応募するのも、単にデータを送るのとは少し違います。「この写真を見てほしい」と思った一枚を、画面の中から取り出して、実際の紙にする。そして、それを誰かのところまで届ける。
そう考えると、プリントするというのは、ただ写真を紙にするだけじゃないんですよね。たくさん撮った写真の中から一枚を選んで、流れていく場所から取り出す。そして、そこに置いてみる。
コンビニで気軽にプリントできる時代だからこそ、まず一枚、紙にしてみるのもいいかもしれません。
画面の中を流れていた写真が、紙の上では、少しだけ時間を止めてくれる。

