ランサムウェア感染は「どうやって」起きるのか?
― PC・サーバー・クラウド共通の侵入経路 ―
ランサムウェアは、ある日突然、勝手に発生するものではありません。
ほとんどのケースで、
- 人の操作をきっかけに侵入し
- 内部で準備を進め
- 時間差で被害が表面化
という段階的な流れをたどります。
基本構造:ランサムウェアは「結果」
多くの場合、感染は次の流れで進行します。
- 侵入口(きっかけ)がある
- 内部に静かに入り込む
- 環境を調査・準備する
- 最後に暗号化が実行される
つまり、
感染=一瞬 / 被害=時間差
というのが大きな特徴です。
侵入口①:メール(最も多い)
典型例
- 請求書・領収書
- 宅配便の不在通知
- 取引先を装ったメール
何が起きる?
- 添付ファイルを開く
- リンクをクリックする
→ マルウェアが実行され、感染が始まります。
最近は、
HTML添付ファイル/ZIP内のOfficeファイルなど、
一見安全そうな形式が増えています。
侵入口②:偽の技術サポート・AI風アドバイス
近年増えている、非常に厄介な侵入経路です。
- 「このエラーはこのコマンドで解決できます」
- 「PowerShellを開いて貼り付けてください」
- 「公式の方法です」
自分でコマンドを実行してしまうため、
セキュリティソフトをすり抜けやすいのが特徴です。
侵入口③:ソフトウェアの脆弱性
- 古いWindows / macOS
- 更新されていないCMS
- VPN・リモート接続機器
この場合、操作なしで侵入されるケースもあります。
企業・自治体・学校で特に深刻な経路です。
侵入口④:リモートデスクトップ(RDP)
- 弱いパスワード
- パスワードの使い回し
- インターネットに直接公開
攻撃者が正規ログインし、そのままランサムウェアを実行することもあります。
クラウドサービスでも感染するのか?
結論から言うと、
クラウドでもランサムウェア被害は起こります。
ただし、「クラウドそのものがウイルスに感染する」というより、
- アカウントの乗っ取り
- 設定ミス
- 連携端末からの侵入
といった利用者側の入口が狙われます。
クラウドにおける主な感染経路
① アカウント情報の漏洩
- フィッシングメール
- 偽ログイン画面
- パスワードの使い回し
→ 正規ユーザーとしてログインされ、
データ削除・暗号化・ダウンロードが行われます。
② 同期PCからの感染
- OneDrive / Google Drive / Dropbox
- 感染したPCがファイルを暗号化
- 暗号化済みファイルがクラウドに同期
結果として、クラウド上のデータも全滅します。
③ APIキー・連携アプリの悪用
- 不要な外部サービス連携
- 管理されていないAPIキー
→ 気づかないうちに大量操作が行われるケースもあります。
④ クラウド上のサーバー設定ミス
- 管理画面の公開
- 初期パスワード未変更
- 不要ポートの開放
クラウド上のCMSや業務サーバーも、通常のサーバーと同様に狙われます。
侵入後に起きること(本当の怖さ)
- 情報収集(PC構成・ネットワーク・バックアップ確認)
- 横展開(他PC・サーバー・クラウドへ拡大)
- バックアップ破壊(復旧不能に)
- 暗号化実行(ここで初めて気づく)
最近の特徴:「二重恐喝」
現在主流のランサムウェアは、
- データを暗号化
- 事前にデータを盗み出す
という二重構造です。
支払わなくても、
「情報を公開する」と脅されるケースが増えています。
なぜ防ぎにくいのか?
- 侵入時は普通の操作に見える
- 暗号化は最後に起きる
- 感染から発動まで時間差がある
気づいたときには手遅れになりやすいのが現実です。
最大の教訓
ランサムウェアは、技術よりも「人の判断の隙」を突いてきます。
まとめ(注意喚起用)
ランサムウェアは、突然ではなく
日常の操作をきっかけに侵入し、
準備を整えた後に被害を表面化させます。
「おかしい」と感じた時点で止まることが最大の防御です。

