昔のホームページには、今ではあまり見かけなくなった独特の空気がありました。ページを開くと、画面の隅に小さなキャラクターがいたり、マウスを動かすと何かが反応したり、季節になると背景やデザインが変わったり。カウンターが回り、訪問者の足跡が残り、隠されたリンクを見つけると、ちょっとした仕掛けが現れる。今振り返れば、決して洗練されたデザインばかりではありません。動きすぎる文字や派手な背景、意味のないアニメーションなど、今のWebデザインの基準からすれば、少し騒がしいものもたくさんありました。それでも、そこには独特の楽しさがありました。
Webサイトは、読むだけの場所ではなかった
昔のホームページは、情報を掲載するだけの場所ではありませんでした。訪問者がページの中を歩き回り、何かを見つけ、時には予想もしなかった仕掛けに出会う。制作者が訪問者を楽しませようと考え、ちょっとした仕掛けを忍ばせておく。そこには、作り手と訪問者の間に、小さなコミュニケーションがありました。ホームページを作ること自体が、ある種の自己表現であり、実験の場でもあったのです。
洗練されたWebサイトと、失われた余白
現在のWebサイトは、非常に使いやすくなりました。スマートフォンで見やすく、必要な情報にすぐたどり着ける。デザインは統一され、表示速度も速く、余計な動きは極力排除されています。それは、Webが社会のインフラになった結果でもあります。企業サイトや行政サイト、ニュースサイトに求められるのは、正確な情報を、誰にでも分かりやすく届けることです。
しかし、使いやすさや効率を追求する一方で、Webサイトから偶然の発見や、ちょっとした驚き、意味のない楽しさが減ってしまったようにも感じます。
便利になったけれど、寄り道する楽しさは減っていないだろうか。
目的のない仕掛けにも、意味がある
今回、G-newsのトップページにハロウィンの魔法使いを登場させてみました。画面の隅から現れて、話しかけてくる。ページのどこかに隠されたカボチャを探す。全部見つけると、お祝いのメッセージが表示される。ニュースを読むために必要な機能ではありません。情報を探すうえで便利になるわけでもありません。
それでも、訪問した人が少し笑ったり、「何だこれ?」と反応したりしてくれたら、それで十分です。Webサイトには、情報を正確に届けるという役割があります。でも、それだけがWebサイトの価値ではないはずです。訪問者の記憶に残ること。もう一度訪れてみようと思ってもらうこと。そして、作り手の人柄や遊び心が伝わること。そんな価値もあるのではないでしょうか。
便利さの先に、もう一度遊び心を。
Webサイトは、これからさらに便利になっていくでしょう。AIが情報を整理し、必要な答えを直接届けてくれるようになれば、Webサイトそのものを訪れる機会さえ変わっていくかもしれません。だからこそ、人がわざわざ訪れる場所には、情報だけではない何かがあってもいい。季節ごとに変わる演出でもいい。隠しアイテムでもいい。画面の隅で話しかけてくる小さなキャラクターでもいい。
効率とは関係のない、ちょっとした無駄。でも、その無駄こそが、Webサイトに個性や温度を与えてくれるのかもしれません。
便利なだけでは、記憶に残らない。 たまには、そんな遊び心をWebサイトに取り戻してみてもいいのではないでしょうか。

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