スマホで見たときは「いい写真だ」と思った。
SNSに投稿しても反応は悪くない。
ところが──
SNSでは問題なかった写真が、印刷した瞬間に絶望する。
写真をやっている人なら、一度は経験する現象です。
なぜSNSでは問題なく見えるのか
解像度が低く、すべてが縮小されている
SNSで表示される写真は、長辺1080〜2048px程度がほとんど。
ピントの甘さ、微ブレ、ノイズは縮小表示の中で平均化され、見えなくなります。
スマホ画面は「盛ってくれる」
スマホやPCの画面は発光体です。
- コントラストが強い
- 彩度が高め
- 暗部も明るく見える
多少の破綻があっても、
「それっぽく」「良く」見えてしまうのが画面表示の特徴です。
スクロール文化の怖さ
SNSは、1枚の写真をじっくり見る場所ではありません。
違和感に気づく前に、指一本で次へ流されます。
止まらない限り、粗は問題にならない。
なぜ印刷すると絶望するのか
解像度が「本性」をさらす
印刷は300dpiが前提です。
SNSとは比べものにならない情報量になります。
その結果、
- ピントのズレ
- ブレ
- ノイズ
- 階調不足
すべてが一気に表に出ます。
色がごまかせない
印刷物は発光しません。
色はインクで再現され、白は「紙の白」です。
そのため、
- ホワイトバランスのズレ
- 肌色の違和感
- 体育館やホール特有の色被り
一発でバレます。
印刷は逃げ場がない
印刷された写真は、
- 立ち止まって見られる
- 距離を変えて見られる
- 拡大縮小でごまかせない
真正面から評価される場所です。
印刷で崩れやすい典型例
- わずかに外したピント
- ISOを上げすぎたザラつき
- シャドー潰れ・白飛び
- JPEG前提の撮って出し
- 照明混在による色破綻
SNSでは通っても、
印刷ではすべて致命傷になります。
回避するための考え方
判断基準を変える
「SNSで映えるか」ではなく、
「A4で耐えるか」を基準にする。
この視点を持つだけで、
撮影も現像も大きく変わります。
チェック方法(重要)
- 100%表示で確認する
- 少し画面から離れて見る
- 一度、紙に出す(家庭用プリンタでもOK)
紙に出した瞬間、現実がわかります。
実は逆も成り立つ
印刷で耐える写真は、
- SNSでも強い
- 信頼される
- 仕事につながる
写真が「消費物」で終わらず、
記録や成果物として残る。
まとめ
SNSは試食。
印刷は本番。
試食で美味しくても、
本番で崩れたら評価は一瞬で決まります。
だからこそ、
「印刷を想定して撮る」
それが、
写真が「流れて消えるもの」になるか、
「残るもの」になるかの分かれ道です。

